F1第12戦フランスGP(ポール・リカール)決勝レースが行われ、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が今季7勝目を挙げた。2位はルイス・ハミルトン(メルセデス)、3位はジョージ・ラッセル(メルセデス)でメルセデスはダブル表彰台を獲得した。
●【2022F1第12戦フランスGP】決勝レースのタイム差、周回数、ピット回数
3番手を走行中だったセルジオ・ペレス(レッドブル)は終盤に抜かれて4位。レッドブルF1と同じくHRC(ホンダ・レーシング)のサポートを得ているアルファタウリF1は、角田裕毅がリタイア、母国GPに臨んだピエール・ガスリーは12位だった。
同じく母国GPに臨んだアルピーヌF1とエステバン・オコン(アルピーヌ)は、オコンが8位、フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)は6位だった。
トップを走行中のシャルル・ルクレール(フェラーリ)は走行中に単独スピンしてリタイアに終わった。
■レースレポート
F1フランスGP決勝レースは、気温31度、路面温度56度という非常に暑いコンディションで始まった。
【1周目】
ターン1はシャルル・ルクレール(フェラーリ)がトップのまま入り、そのすぐ後ろにマックス・フェルスタッペン(レッドブル)。抜群のスタートを決めたルイス・ハミルトン(メルセデス)がセルジオ・ペレス(レッドブル)を抜いて3番手に上がった。
ターン8の縁石を越えたところで、イン側のエステバン・オコン(アルピーヌ)がアンダーステアを出して、アウト側の角田裕毅(アルファタウリ)に接触して角田がスピン!最後尾に落ちてしまった。
【4周目】
オープニングラップで角田に当たったと判断され、オコンに5秒ペナルティが出された。しかし、角田はまだ20番手を走行中で、角田の順位が戻るわけではない。
【5周目】
19番グリッドからスタートしたカルロス・サインツ(フェラーリ)は、すでに13番手まで上がってきた。
【7周目】
4番手のペレスは、ハミルトンから1.2秒差となりDRS圏内から外れてしまった。
【9周目】
ケビン・マグヌッセン(ハース)が非常に早いタイミングでピットに入り、ハードタイヤに交換した。
【10周目】
ミック・シューマッハ(ハース)とジョウ・グァンユ(アルファロメオ)もピットインしてハードタイヤに交換した。
【12周目】
トップを走行するルクレールにフェラーリのピットから「プランBを考えているがどうだ?」と無線が入り「了解」と応える。
【13周目】
ターン8のシケイン入口でイン側に飛び込んだサインツがランス・ストロール(アストンマーティン)を抜いて入賞圏内のトップ10まで戻ってきた。
【15周目】
ルクレールのフロントタイヤにブリスターが出始めた。
【16周目】
ラップの終わりにフェルスタッペンがピットに入り、ハードタイヤに交換した。アンダーカット狙いだ。ランド・ノリス(マクラーレン)の後ろ7番手でコースに復帰した。
【17周目】
サインツがターン8の飛び込みでダニエル・リカルド(マクラーレン)をオーバーテイクして9番手へ浮上。
フェルスタッペンはノリスを料理し、6番手に上がった。
【18周目】
イエローフラッグが出た。なんとトップのルクレールがノーズからまっすぐタイヤバリアに突っ込んでいる!
すぐにセーフティカーが入り、多くのドライバーが続々とピットインする。
リプレイ映像では、ルクレールが大きく右に回り込むターン11を走っている時に突然リアが滑ってしまい、1回転してタイヤバリアに刺さってしまった。無線でルクレールは「Noooooo!」と悲鳴のように叫びながら憤る。
無線では、スロットルに問題があった可能性があるようで、憤るルクレールの激しい呼吸が聞こえてきた・・・。
【20周目】
角田裕毅がガレージに入っている映像が入ってきた。オコンに当てられた影響で左サイドポンツーンに穴が空いてしまっていた。すでに角田はマシンを降りている。ここでリタイアだ。
ラジオには、スロットルの問題があった可能性があることを示す前に悲鳴を上げる、非常に不幸なルクレールからの非常に激しい呼吸があります。
【21周目】
セーフティカーが入りレース再開。トップはフェルスタッペン、2番手ハミルトン、3番手ペレス、4番手ジョージ・ラッセル(メルセデス)、5番手フェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)、6番手サインツという順位だ。
【22周目】
ターン8でサインツがアロンソをオーバーテイクして5番手に浮上した。
ターン11でミック・シューマッハ(ハース)がスピン!イン側のジョウ・グァンユ(アルファロメオ)をアウト側からオーバーテイクしようとして接触してしまった。
【24周目】
サインツに5秒ペナルティが出された。19周目にピットアウトした際、ピットレーンを走ってきたアレクサンダー・アルボン(ウィリアムズ)の直前に入ってしまい接触寸前だったことが、アンセーフリリース(危険な行為)と判断された。フェラーリはもったいないミスをしてしまった。
【26周目】
ジョウ・グァンユに5秒ペナルティが出された。先ほどのシューマッハと接触した件で、すでに抜かれていたのに無理なドライビングをしたと判断された。
【29周目】
ターン8でガスリーが11番手のアレクサンダー・アルボン(ウィリアムズ)のイン側に飛び込んだが、オーバースピードで真っ直ぐ通過してしまい、15番手まで落ちてしまった。母国GPでここで無理する必要はなかったかもしれない。
【30周目】
サインツがラッセルをオーバーテイクして4番手に浮上。
【32周目】
ハミルトンが単独でコースアウトしたが、コースに復帰。タイヤが厳しいのかもしれない。
一方、ミディアムタイヤを履いているサインツの右フロントタイヤにはブリスターが発生しているのが確認できた。サインツはタイムが上がらないのか、タイヤを保たせるためにタイムを上げないでセーブしているのか。いずれにせよ、ミディアムタイヤでは厳しいだろう。
ハードタイヤでスタートしたサインツは別の戦略を考えていたが、ルクレールがクラッシュしてセーフティカーが入ったことでミディアムタイヤに交換。当初の戦略が狂ってしまった。
【38周目】
フェルスタッペン「左フロントタイヤが厳しくなってる」と無線で伝えるが、今ピットに入ると大幅に順位を落としてしまうので耐えるしかない。
【40周目】
ピットインしたケビン・マグヌッセン(ハース)がガレージに入った。先ほどニコラス・ラティフィ(ウィリアムズ)と接触した際にダメージがあったのかもしれない。
【41周目】
タイヤが厳しいサインツはピットに入りたいように伝えるが、ピットはステイアウトを指示。今は入ると順位を大きく落としてしまう。
【41周目】
最終ターンでサインツがペレスをオーバーテイクして3番手に浮上!
【42周目】
ターン8の飛び込みでラッセルがペレスに仕掛ける!イン側をギリギリまで閉めていたペレスは接触を避けてショートカット。ペレスはポジションを守った。しかしラッセルはこれに憤るが、メルセデスは「コーナーで前に出ていないから」と冷静になるよう促す。
【43周目】
サインツがピットイン!5秒ペナルティを消化し、再びミディアムタイヤに交換した。残り10周でどこまで追い上げられるか?
【46周目】
サインツがノリスをオーバーテイクして6番手へ。
オコンがリカルドを抜いて8番手に上がった。
サインツは「なぜステイアウトしなかったんだ」とチームの判断に疑問を投げかけるが、フェラーリは「タイヤが保たなかったんだ」と説明した。次のターゲットはアロンソだ。
【48周目】
ターン10の入口でサインツがアロンソをオーバーテイク。そのサインツがファステストラップを出した。
【49周目】
バーチャルセーフティカー!ジョウ・グァンユ(アルファロメオ)がターン6でストップ!シューマッハとの接触が影響した可能性がある。
【50周目】
バーチャルセーフティカーが終了すると、タイミング良くアクセルを踏んで加速したラッセルがペレスを一気にオーバーテイクして3番手へ!
バーチャルセーフティカー終了時のタイミングを逃したペレスが速度を落としすぎてしまったようだ。焦ったペレスだったが時すでに遅し。ラッセルのすぐ後ろにピッタリつけ、DRSを使いながら仕掛けるが抜けるほどの速さはない。
【53周目】
ファイナルラップ。フェルスタッペンがトップでチェッカーを受けた。2位はハミルトン。3位はラッセルだった。ペレスは3位を取り戻すことができずに表彰台を逃してしまい4位でチェッカーを受けた。
レース後のインタビューで、ハミルトンは「ドリンクボトルが壊れていた」と明かし、表彰台の前の待機ルームでドリンクを飲むと、床に寝転んでしまうほど体力を失っている様子だ。
■フェルスタッペン、ポイント差を拡げる
フェラーリの連勝を2で止めたフェルスタッペンは今季7勝目を挙げ、今季233ポイントまで伸ばしてドライバーズランキングでもトップを快走中だ。
一方、レースを失ったルクレールは、フェルスタッペンに63ポイント差をつけられた。
レース終盤にラッセルに3位を奪われたペレスの救いは、ルクレールがリタイアしたことで7ポイント差まで詰めることができた、ということだろう。
次戦は1週間後、夏休み前の最後のレースとなるF1第13戦ハンガリーGPだ。