F1第11戦オーストリアGPの決勝レース(71周)が行われた。
●【2022F1第11戦オーストリアGP】決勝レースのタイム差、周回数、ピット回数
夜から朝にかけて雨が降ったことで路面のラバーは変わってしまったが、これがタイヤ戦略にどう影響するのか注目だ。
決勝レースは晴天、気温20℃、路面温度31℃の完全なドライコンディションで始まった。
■いきなりサインツが接触
1周目:ターン1でジョージ・ラッセル(メルセデス)と3番手争いをしたカルロス・サインツ(フェラーリ)がコース外に飛び出てやや遅れる。
ターン4でアウト側のセルジオ・ペレス(レッドブル)がイン側のジョージ・ラッセル(メルセデス)をオーバーテイクしようとした際に接触してペレスはスピン、パーツが飛び散り、グラベルに出てしまう。
ペレスはなんとかコースに復帰できたが最後尾まで落ちてしまい、緊急ピットインしてハードタイヤに交換した。この接触は記録されている。
10周目:ターン3でルクレールがフェルスタッペンのイン側に飛び込んだが、アウト側のフェルスタッペンはポジションを譲らなかった。ギリギリだがフェアでクリーンなバトルだ。
続くターン4でもルクレールはアウト側に並びかけるが、イン側のフェルスタッペンが守った。
11周目:1周目にペレスと接触したラッセルに5秒ペナルティが出された。
12周目:ターン4のイン側にルクレールが飛び込みフェルスタッペンをオーバーテイク!
また、ラッセルはペナルティを消化し、ノーズ交換とタイヤ交換をして、ペレスの前、19番手まで落ちた。
■トップのフェルスタッペン、ハードタイヤに交換
13周目:フェルスタッペンがピットイン。ハードタイヤに交換した。
14周目:ルイス・ハミルトン(メルセデス)がミック・シューマッハ(ハース)を攻略し、5番手に浮上。
15周目:ハミルトンはターン3でケビン・マグヌッセン(ハース)もオーバーテイクし、ようやくハース勢を攻略した。
18周目:ペレスにブラックアンドホワイトフラッグ(黒白旗)が出された。トラックリミット違反を3回してしまったためだ。
25周目:ペレスが2度目のピットインをするがなかなか出てこない。どうやらリタイアを選択したようだ。
■フェラーリ、ようやくピットイン
27周目:トップのルクレールがようやくピットイン。3番手でコース復帰した。フェルスタッペンから6.7秒後方だ。戦略的にはピットインが遅すぎると考えられる。
角田裕毅(アルファタウリ)もピットイン。18番手で戻っている。
28周目:サインツがハードタイヤに交換。コースに復帰した時にはハミルトンの後ろ4番手でコースに戻るが、ハミルトンはまだタイヤ交換をしていないので問題ないだろう。
29周目:ハミルトンがピットイン。5番手でコースに復帰した。
■ピットストップを1回ずつ終えた順位
ピットストップを1回ずつ終えたトップ10の順位は、フェルスタッペン、ルクレール、サインツ、ハミルトン、エステバン・オコン(アルピーヌ)、マグヌッセン、シューマッハ、ノリス、ラッセル、ダニエル・リカルド(マクラーレン)となっている。
33周目:ターン3でルクレールがフェルスタッペンをオーバーテイク!フェルスタッペンは無線で「タイヤのグリップがあったりなかったりする」とタイヤの不調を訴えた。
ピエール・ガスリー(アルファタウリ)に5秒ペナルティが出された。トラックリミット違反だ。
そして同じくトラックリミット違反を3回したノリスにも5秒ペナルティが出された。ペナルティパラダイスだ。
■アロンソ、角田裕毅に不満のジェスチャー
16番手争いをしていた角田裕毅(アルファタウリ)をフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)がオーバーテイク。その際、角田に対して人さし指を左右に振り「ダメだよ」というジェスチャー。アロンソに対して厳しすぎるブロックをしたためだろう。
37周目:サインツに5秒ペナルティが出された。トラックリミット違反の代償は大きい。
そしてタイヤの不調を訴えていたフェルスタッペンが2回目のピットイン。再びハードタイヤに交換して3番手でコースに復帰した。
ジョウ・グァンユ(アルファロメオ)にもトラックリミット違反が出された。
■ベッテル、ガスリーに押し出されて怒る
40周目:ターン4でイン側のガスリーとアウト側のベッテルが接触し、ベッテルがスピンしてグラベルに出てしまったが、なんとかコースに復帰した。ベッテルは「僕が前に出ていたのに何やってるんだ」と苦言を呈す。最近ガスリーの接触が目立つ。
その後、ガスリーに5秒ペナルティが出された。もう少しアウト側にスペースを残すべきだっただろう。
43周目:ハミルトンと角田裕毅にもトラックリミット違反が出された。ハミルトンには「トラックリミット違反で黒白旗が出されているから気を付けて」と忠告が入ると、「みんな出ているじゃないか!」と返すハミルトン。しかし「何人かは5秒ペナルティが出されている」とピットウォールはハミルトンに伝えた。
45周目:トップ5の順位は、ルクレール、サインツ、フェルスタッペン、ハミルトン、アロンソだ。
49周目:ルクレールがピットイン。ハードタイヤに交換した。ピットアウトしていく横でフェルスタッペンが前に出る。
50周目:サインツにもボックスの指示が出てピットイン、ハードタイヤに交換。これでフェルスタッペンがトップに出た。
残りは20周、フレッシュなハードタイヤのルクレールがファステストラップを更新しながらフェルスタッペンに一気に近づく。
52周目:4番手ハミルトンがボックスしてミディアムタイヤに交換。順位はそのままでコースに復帰した。
■ルクレールがフェルスタッペンをオーバーテイク!
53周目:ルクレールはホームストレートでフェルスタッペンの後ろにピッタリとつけると、ターン3のアウト側からルクレールがオーバーテイクを仕掛けた。イン側のフェルスタッペンも守る。
しかしルクレールはコーナー出口でラインをクロスさせてイン側に並びながらターン4までのストレートで前に出てオーバーテイクに成功した。
■サインツ、炎が出て悔しいリタイア、バーチャルセーフティカー
57周目:3位を走行していたサインツの後ろから白煙が上がった。サインツは「ノー、ノー、ノー、ノーー」と悔しそうにターン4でマシンを止めた。
リヤからは炎が見え、フェラーリの深紅のエンジンカウルは消火器を吹きかけられ真っ白になる。
クルマから出たサインツはコース脇で座り込んでしまった。悔しそうだ。
そしてマシン撤去のためすぐにバーチャルセーフティカーが出されると、すぐにルクレール、フェルスタッペン、6番手のアロンソがミディアムタイヤに交換。終盤の戦いに備える。
■ルクレールのマシンに危険なスロットルの問題が発生、フェルスタッペン追い上げる!
61周目:ルクレールが「スロットルがおかしいんだけど」という無線。ピットウォールは「大丈夫だ」と伝えるが、何があるかわからない。
そしてフェルスタッペンがファステストラップを更新して追い上げる。その差は3.5秒だ。
63周目:ルクレールがファステストラップを更新すると、直後にフェルスタッペンがタイムを塗り替える。熾烈な戦いが始まった。
64周目:ルクレールは「何が起こっているんだ」とまだスロットルの不具合を気にしている。ピットウォールは「時々スロットルが動かなくなっているようだから、動かしてくれ」と難しい注文。
66周目:ルクレールは「スロットルがゼロポジションに戻らない」と訴える。アクセルが常にオンになっているようで危険な状態だ。コーナーが非常に難しい状態のようだ。
69周目:ルクレールは「ギアシフトができない」と訴える。ピットウォールは「アクセルペダルが戻らないからシフトダウンできないようだ」と危険な状況だ。
それを知ったレッドブルF1はフェルスタッペンに伝え、最後のチャンスを狙って追い上げを開始する。
■ルクレール優勝!
71周目:ルクレールはスロットルが戻らないという危険な不具合を抱えながら、3回目のトラックリミット違反に気を付けながらなんとか優勝した。
2位は1.5秒差まで追い上げたフェルスタッペン、3位はハミルトンで、“3強”が表彰台に上がった。
4位は5秒ペナルティを受けながらも追い上げたジョージ・ラッセル(メルセデス)、5位はエステバン・オコン(アルピーヌ)。
6位は自己最高順位を更新してドライバー・オブ・ザ・デイにも選ばれたミック・シューマッハ(ハース)、7位はランド・ノリス(マクラーレン)、8位はケビン・マグヌッセン(ハース)、9位はダニエル・リカルド(マクラーレン)、10位はフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)だった。
■夏休み前、最後の2連戦へ
これで2連戦が終了。1週間の休みを挟んで、再来週はF1フランスGP、そしてハンガリーGPと夏休み前の最後の2連戦が開催される。
フランスGPで待望のアップデートが入るアルファタウリF1、苦戦が続いた角田裕毅とガスリーの巻き返しにも注目したい。