3年ぶりの開催となったF1カナダGP。ジルビルヌーブ・サーキットは市街地サーキットではあるが、普段は一般車が通ることのないセントローレンス川のある人口島だ。気温25℃、路面温度39℃、湿度42%、風速6.1km/hというコンディションで始まった。
●【2022F1第9戦カナダGP】フリー走行1回目のタイム差、周回数
前日はピットに川ができるほどの大雨だったが、このセッションは晴れているものの、映像には分厚い黒雲が見える。
フラッグがはためくほど風が強く、観客席からのゴミがコース上に舞っているのが国際映像にも映っており、F1マシンの走行に影響が出ているのがわかる。
母国GPを迎えているのは、ランス・ストロール(アストンマーティン)とニコラス・ラティフィ(ウィリアムズ)だ。しかし、今年いっぱいで契約が終了するラティフィについては結果が出ておらず、最近パドックでは「母国カナダGPが最後ではないか?」と囁かれており、次戦からアルピーヌのリザーブドライバーでF2王者のオスカー・ピアストリがドライブするという噂が出ている。
■ポーパシングによるドライバーを守るための対策が導入
このグランプリでは、ポーパシング(ポーポイズ現象)に具体的な対策が取られることになった。車両にGセンサーをつけて縦方向のデータを収集し、フロアのスキッドプレートの摩耗具合を測ることになる。
フリー走行3回目でDRSを動作させない状態で一定基準を超えた場合、車高を10mm(1センチ)上げる可能性があるという。
まず実施される今回の目的は、ドライバーの身体的負担による事故を未然に防ぐことであり、中長期的には全チームと話し合いながらポーパシング対策をしていくという。
■オコン、観客席からのゴミでブレーキトラブル
開始14分、エステバン・オコン(アルピーヌ)が「右フロントからスモークが出てる」と無線で伝えた。チームとは「プラスチックバック(ビニール袋)?」「いや、ペーパータオルだと思うよ」と会話し、映像でもペーパータオルらしきものがブレーキダクトに張り付いていたのが確認できた。
■角田、ウォールに軽く接触
残り20分、カナダGP初走行の角田裕毅(アルファタウリ)が、ターン9のウォールに「軽く接触した」と伝えた。映像を見ると火花が出るほどの接触をしていたが、当たる角度が良かったためそのまま走り抜けていった。
なお、角田はこのグランプリでパワーユニットを交換。年間3基までと決まっているICE(エンジン)、TC(ターボチャージャー)、MGU-H(熱エネルギー回収システム)、MGU-K(運動エネルギー回収システム)の4コンポーネントで各4基目を投入したため、決勝レースはグリッド最後尾からスタートすることが決まっている。まだシーズンは9戦目で、残りは半分以上あるため、厳しいシーズンになりそうだ。
■3番手アロンソ、ミハエル・シューマッハの記録を抜く
周囲がソフトタイヤでタイムを残している中、セッション終盤、ミディアムタイヤで3番手に飛び込んできて驚かせたのはフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)だ。
アロンソは、前戦F1アゼルバイジャンGPで伝説のミハエル・シューマッハの記録を抜いて、2001年オーストラリアGPにデビューしてからF1に7,771日いることになる。両名とも途中F1から離れていたが、21年もの長期にわたって活躍している。
■名物ウッドチャックが危機一髪!
残り9分過ぎ、名物のウッドチャックがコースを横切り、超高速で走り抜けるカルロス・サインツ(フェラーリ)と接触寸前だったが、間一髪でコース上を渡ることに成功した。
各ドライバーは、イエローのミディアムタイヤでロングランも試しており、順調にプログラムを消化した。
トップタイムはマックス・フェルスタッペン(レッドブル)、2番手はカルロス・サインツ(フェラーリ)、3番手はフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)だった。
4番手にはセルジオ・ペレス(レッドブル)、5番手にはシャルル・ルクレール(フェラーリ)、6番手にはジョージ・ラッセル(メルセデス)が続いた。
レッドブルF1と同じくHRC(ホンダ・レーシング)のサポートを得ているアルファタウリF1のピエール・ガスリーは11番手、角田裕毅は14番手だった。
17周を走行したランド・ノリス(マクラーレン)が、早い段階でコクピットから降りてガレージで見守っていたのは気になるところだ。
フリー走行2回目は、日本時間6時から始まる。