F1第7戦モナコGP(モンテカルロ市街地サーキット)の3日目、決勝レースはウェットからドライへと変わっていき、判断が難しいレースとなった。
● 【2022F1第7戦モナコGP】決勝レースのタイム差、周回数、ピット回数
■ウェットレーススタートで赤旗中断
気温23℃、路面温度33℃の曇り空だったが、決勝前のセレモニーが終わるとほぼ同時に雨が降りだし、観客がレインコートを着たり傘を差し始めると、あっという間に雨が強くなった。
セーフティカー先導でウェットタイヤスタートが宣言されたことで、タイヤ交換義務はなくなった。
その後、雨脚が強くなって1時間5分の中断後、再びセーフティカー先導スタートとなり、ようやくローリングスタートによりレースが始まった。
■上位勢、ウェットタイヤからインターミディエイト、すぐにハードタイヤへ
17周目、様子を見ていた上位勢だったが、まずセルジオ・ペレス(レッドブル)がインターミディエイト(緑)に履き替えるとファステストラップを更新。
マックス・フェルスタッペン(レッドブル)、シャルル・ルクレール(フェラーリ)も続々とインターミディエイトへ履き替える。
8番手争いでは、エステバン・オコン(アルピーヌ)とルイス・ハミルトン(メルセデス)がターン1で軽く接触するほどの激しいバトルを続ける。オコンはウェットで粘り、ハミルトンはインターミディエイトを履いており、ハミルトンの方が圧倒的に速いが、ブロックラインを走ると抜けないのがモナコだ。
22周目、カルロス・サインツ(フェラーリ)、そしてシャルル・ルクレール(フェラーリ)がハードタイヤに変えた。
23周目、レッドブルF1勢もフェラーリに合わせてハードタイヤに交換。ここで順位が入り乱れる。先頭はペレス、2位サインツ、3位フェルスタッペン、4位ルクレールというオーダーだ。
ペレスの真後ろにサインツがピッタリつくが、周回遅れをうまく間に入れながらその差を拡げようとする。
■大クラッシュ!
27周目、プールシケインのターン15でミック・シューマッハ(ハース)の大クラッシュが映し出され、イエローフラッグが出たあと、バーチャル・セーフティカー(VSC)が出た。
リプレイ映像では、シューマッハはターン14の右ターンをしたところでウェットパッチに乗ってしまったようで、スピンしながらターン15のテックプロバリアに突っ込んだ。両リアタイヤを含むリアエンドが完全にもげるほどの衝撃映像だったが、シューマッハはクラッシュ直後の無線で「無事」を伝えている。
ハースのマシンの撤収作業のために、セーフティカー先導となった。
30周目、セーフティカーから赤旗になった。コース清掃とテックプロバリアの交換のためだ。
この時点での順位は、ペレス、サインツ、フェルスタッペン、ルクレール、ラッセル、ノリス、アロンソ、ハミルトン、オコン、ボッタスまでがトップ10だ。
アルファタウリF1勢は、ガスリーが12番手、角田裕毅は15番手につけている。
現時点でリタイアは2台のハース勢だ。
■レース再開、短縮レースに
レースはセーフティカー先導で日本時間0時15分に再開。
上位勢はミディアムタイヤとハードタイヤに分かれた。レッドブル勢はミディアムタイヤ、フェラーリ勢はハードタイヤだ。この選択が吉と出るか凶と出るか。
33周目、セーフティカーがピットに入り、レースは再開。本来レース周回数は77周だが、赤旗中断もあったことからレース時間が足りなくなった。当初のレース開始予定時間から3時間までを計算すると、全66周ほどしかできない計算だ。
テレビモニター表示も残り周回数から残り時間へと切り替わった。残り35分ほどだ。
このままミディアムタイヤを持たせれば、ペレスが勝つことになり、2位サインツ、3位フェルスタッペンの順となる。ポールポジションスタートのルクレールは4位の予定だ。
■アロンソ対ハミルトン
7番手争いが激しくなってきた。前を行くフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)にハミルトンがピッタリとついている。2冠と7冠の元F1王者同士の対決だ。
ハミルトンはレース直前に雨が降った時には雨用の透明バイザーをつけていた特別デザインの白いヘルメットに変えていたが、レース再開後は黄色いヘルメットに変えている。
43周目、トップのペレスがファステストラップを更新して逃げる。2番手サインツは約2秒後方、等間隔で3番手にはフェルスタッペン、4番手ルクレールはそこから2.4秒とやや後方を走っている。タイヤをセーブするためあえてペースを落としているのか、それともついていけないのか、この後わかるだろう。
先頭集団はトップ6のペレス、サインツ、フェルスタッペン、ルクレール、ラッセル、ノリスまでだ。約30秒後方の第2集団は7番手のアロンソが先頭だが、ペースが上がらない。ハミルトンはピッタリつけていたが、ここはモナコ・モンテカルロ、DRSを使っても抜くことはできない。
その後、ハミルトンはペースを落とした。タイヤが厳しいのか、エンジンを守ろうとしているのか、または別のトラブルが発生しているのかは分かっていない。
■トップ4の接戦
57周目、ペレスを先頭とするトップ4はそれぞれ0.7秒〜0.9秒差以内で接近しており、DRSを使える状況だ。どうやらペレスはミディアムタイヤが限界に達しているようだ。
60周目、あと5分、ペレスは先頭集団をリードしているが、なんとかモナコ初優勝に向けてこのままフィニッシュしたい。後続ドライバーはピッタリとつけて前のマシンにプレッシャーをかけるが、大差がない限り抜くことはできない。
■ペレス、F1モナコGP初優勝!
そして迎えたファイナルラップ、65周のレースとなったF1モナコGPは、ペレスがトップでチェッカーフラッグを受けた。自身3勝目が“夢”のF1モナコGP初優勝、今シーズン初優勝だった。
2位はサインツ、3位はフェルスタッペンで、レッドブルF1が1ー3とダブル表彰台を獲得した。
4位は母国GP初優勝に最も近かったポールポジションスタートのルクレールだった。雨に翻弄されてしまい表彰台にすら立てなかった。モナコで生まれ育ち、コースの一部にもなっているスイミングプールで水泳を覚え、コースや天候を誰よりも熟知しているルクレールだが、最速のマシンを持っていても勝てないのがモナコ・モンテカルロの難しさだ。
次戦は6月10日〜12日、超高速サーキットのF1第8戦アゼルバイジャンGPだ。
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